「学力喪失」今井むつみ著
「学力喪失」今井むつみ著
乳幼児が、母語である言語を習得できるのは、推論の力、知識を学習する力によるという。
しかし、言語という巨大で抽象的な記号の体系を習得することができた子どもたちが、小学校に入学後、学習内容についていけなくなってしまうのはなぜか。小学校での学びにつまずいた子どもは、中学生になると、いくら学習を続けても自分は分かるようにならない、だから学習しても時間の無駄だと思う「学習性無力感」を抱くようになるという。
著者は子どもの学力不振の原因を根本から明らかにするテストを共同開発。その解答例を分析しながら子どもたちが本来持っている「学ぶ力」をなぜ十分に発揮することができないのか、その原因と回復への道筋を認知科学の視点から解き明かしていく教育テキスト。
(岩波書店 1276円)