田中哲司を一念発起させた 光石研の“アウトロー演技”
あとで考えたら、光石さん、北九州の黒崎の出身なんで、当たり前なんですけどね。「すごい!」と思ったシーンは、ドライブインで光石さんが人を撃つんですが、その直後に、こう空を見上げて、まぶしいなあ、みたいな顔するんですよ。その日常的なしぐさひとつで、人を撃ったのに全然動揺してない、っていうことなんですけどね。今でも、いつか僕もこれ使おう! って思ってるんです。
■飲みのネタは「髪の毛」
そんな光石さんと、今は飲みに行ったり、仲良くさせてもらってます。すごいことですね。僕が事務所に入るまで、光石さんと同年代の役者さんがあまりいなかったんです。周りは小林稔侍さん、緒形拳さん、石橋凌さん、吉田日出子さん…、もう大御所ばっかりだったんで、光石さんにとっては、ちょうどいい後輩ができたということでしょう。もともと光石さんはお酒をあんまり飲まなかったんですけど、僕が場末の飲み屋みたいなところを引きずり回して、徐々に飲むようになって、今は結構、飲みます。
会話の内容は、年々薄くなる髪の毛の話とか(笑い)、あんまり人に言わない方がいいようなフツーの話ばっかりですよ。「張り切って行こうぜ!」とか、先輩ぶった演技の話なんか一切しない。あんまり出しゃばることなく、「このまま楽しい感じでいきたいね」みたいな。僕だけだったらとんがっちゃったりするんでしょうけど。
一緒にいて、その気張らない空気がホッとする。光石さん、酔うと北九州弁が出てくるんですけど、それがそのまんまヘルプレスの役になってる。僕も、そのまんまでありたいと思ってます。