園山真希絵「逆風の3年前」に受けた鶴太郎の“愛のムチ”
その一方で、キャンバスに向かってらっしゃる鶴太郎さんからは仕事への姿勢を学びました。こちらは「言葉ではなく背中から」ですね。普段は冗談もおっしゃるし、ヒョウキンなところが多い鶴太郎さんですが、いざ筆を手にすると別人。あたりの空気が一変して近寄り難いオーラを発するんです。とにかくストイックで、うかつに言葉をかけられませんし、咳ひとつもはばかられる、そんな雰囲気をお持ちです。
飲食店の切り盛りはある面、スタッフ全員のチームワーク。片や画家は創作においては個人プレー……。
そんな違いはありますが、料理を生み出すのは自分だけの世界ですから、共感できる部分も多く、持てる力以上の作品を生み出すための血がにじむような努力と取り組みは、そばで見ていて感心するばかり。学ぶべきところが多いですね。
それと、鶴太郎さんは何より礼儀正しく謙虚なんです。この取材をお受けする際、「鶴太郎さんのことを話していいですか?」とメールを差し上げましたら、「こんな自分でもいいんですか」って律義に返信してくださいました。本当に恐縮しちゃいますよね。
私の目標は「人を良くする、と書く“食”」で多くの方の笑顔を増やし、「ありがとう」とたくさん言われる人間になること。それがひいては鶴太郎さんへの恩返しにもなる。こう思って陰徳を積みながら、今日も頑張ります。