自身も“修羅場”2度 離婚カウンセラー岡野あつこさん語る
「俺の腹は真っ白だ。おまえたちのために命をかけて働いてんのや」
本当は真っ黒のくせに、そう啖呵を切って家を出て、30分後にまた浮気相手のアパートにしけ込んだヤツ。相手は同じ会社の事務職だった。幼い息子と私を放ったらかしで昼間の密会に朝帰りとやり放題のくせに、「税務署に追われて帰っている暇なんかあるか。おまえみたいなおしゃべりに行き先なんか言えるか」と強弁していた。結納金100万円が当たり前だった時代に30万円しか持ってこられなかった男。当時飼っていたチワワ犬と同じ額で、私はチワワかと思った。
浮気もそうだが、両親が建てた実家を勝手に転売したのは絶対に許せない。許しちゃいない。泥沼の離婚調停。私には長男を育てていく能力も資格もないと、4人もの証人の陳述書を提出してきた。罵詈雑言の数々。大体なんで、そんな男と結婚したのか。
歌はうまかった。「ブランデーグラス」とか「ルビーの指環」とか。カラオケがはやり始めた時代。当時、京都で2台しかない、ピンクのプレリュードの私を信号待ちで見つけ、「おお、ワシや」と声をかけてきた。あの信号が赤じゃなかったら、とも思ってしまう。