故・藤山寛美に師事 曾我廼家八十吉が見た“ホンマの天才”
松竹新喜劇でデビューし、最近はNHK朝の連続テレビ小説をはじめ、ドラマでも活躍中の曾我廼家八十吉さん(60)。役者の基礎から厳しく、そして愛情を持って育ててくれたのが故・藤山寛美さん(享年60)だ。
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「人の芝居を見ることが勉強や。芸を盗め」「腹で(心を込めて)芝居せえ」「背中でも芝居できる役者になれ」「開け(開演)の5分、10分が勝負や」「“役の者(役柄)”になるから役者やぞ」……。
師匠の藤山(寛美)先生が亡くなられて、もう27年になろうとしてますが、先生に教えていただいたことや言葉の数々は今も忘れられないですね。実家は京都の北、日本海に面する丹後町にあって、帯とか作る機織りをしていました。高校卒業後、2年ほど家業を手伝っていましたが、役者になりたいという夢をかなえたくて、20歳の時に長兄を頼って大阪に出てきたのです。今から41年前、1976年4月でした。
ご縁というのは不思議なもので、兄の知り合いの知り合いのツテで、その1カ月後、5月に松竹新喜劇に入団できまして、しばらくすると先生に「ちょっと部屋、手伝ってくれへんか?」と声をかけていただきました。「部屋を手伝う」。早い話が「付き人の1人になってくれ」ということですが、先生の場合、世間で想像するような付き人とはまったく違いましてね。