故・藤山寛美に師事 曾我廼家八十吉が見た“ホンマの天才”

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 ちょうど、後に20年連続・無休公演記録となる最中でしたから、休みらしい休みがない。しかも先生は寝るのがホンマに遅かった。自宅代わりの楽屋で、朝の5時、6時まで、テレビや録画した芝居や映画ドラマを見たり、ワープロが新発売になれば、買うてきてチョコチョコ触ってみたり、なんやかんやして朝まで寝ないんです。付き人は当然、起きていなくてはなりません。

 ようやく寝てくれはっても、僕らは11時から舞台がありますから、9時には起きて準備してました。先生は出番が午後からなので、12時まで寝てられますが、僕らは平均3時間か4時間しか横になれないから、慢性寝不足ですよ。

■2時間、3時間のダメ出しはしょっちゅう

 それが毎日。1年365日、休めるのは5日あればいい方。先輩の苦労を目の当たりにしてましたから、声をかけていただいた時はうれしいというより、「1カ月持たんやろな」と思いました。

 ところが、3カ月、半年、1年……と続き、とうとう先生が亡くなる前日までの14年間、そばにおったんです。その間、何百人もが付き人になり、やめていきました。

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