「サバイバルファミリー」が描く “電気なし生活”のリアル

公開日: 更新日:

 やがて一家は電気と食料を求め、母光恵(深津絵里)の実家・鹿児島を自転車で目指す無謀な旅に出る。リアリティーを出すため、この旅程は監督らスタッフも事前に体験し、登場人物と同じように雑草を食べるなど、実際に「使える」生存術を脚本に反映させたというから力が入っている。

「漬物を漬けたり肉や柿を干すなど普段は時代遅れとバカにされがちな老人の知恵に救われる展開には、ハイテクやITが苦手な矢口監督らしい“古き良きもの”リスペクトな主張が感じられる。わずかな時短と利便性を求め湯水のように電気を使う生活で見失っていた本物の幸福というものに観客は一家とともに気づかされ、わけもわからず涙があふれてきます」(前出の前田氏)

 もうすぐ7度目の「3・11」を迎えるが、震災の記憶がどんどん薄れる中、再びエネルギー浪費に慣れつつある都会人は必見のタイムリーな一本だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動