「サバイバルファミリー」が描く “電気なし生活”のリアル

公開日: 更新日:

 福島第1原発事故時の節電や計画停電以来「電気のない」薄暗い生活を多くの人が体験したが、それら大災害における教訓を再認識できる映画がいま話題になっている。

「スウィングガールズ」(04年)、「ハッピーフライト」(08年)などのヒット作で知られる矢口史靖監督最新作「サバイバルファミリー」(公開中)だ。

「ある朝、目覚めたらすべての電気製品が使えなくなっていた」現代日本の大都市におけるサバイバルを、何のとりえもない父親(小日向文世)率いる4人家族の視点から描く。ハリウッド映画のような災害スペクタクルなどはなく、原因不明なままいきなり「電気なし生活」に放り出される展開。電車もエレベーターも車さえも動かないのに、それでも通勤しようとする都会人の能天気さで笑わせるが、その独創的な発想を映画批評家の前田有一氏は高く評価する。

「食料の奪い合いも起きず、商店ではみな律義に行列に並ぶ。血眼になっているのは会社に遅刻しそうなお父さんたちだけと、治安の悪い海外の人が見たら腰を抜かしそうな、いかにも日本的な“終末ムービー”です。いまどき珍しいオリジナル脚本の企画というのもいい」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動