カッコ悪いのにカッコいい「落語」と「芝居」の二刀流

公開日: 更新日:

 さまざまな経験を役立てて落語と芝居の二刀流を会得したのである。

 近年、落語界は他の職業やアルバイトを経て入門する者が増えた。しかし、それらの経験を新作落語やまくらに生かしている者がいない。

「僕の場合、卒業してすぐ落語家にならず、サラリーマンの仕事を経験したことが新作を作る上で役立ってます。毎朝、満員電車に揺られて通勤してた。世間さまはこういう思いをして生活費を稼いでいるんだとわかっただけでもいい経験したと思ってます」

 落語ファン、特に女性に人気がある喬太郎だが、当人は自分がそういう芸人ではないと思っている。

「学生時代から自分はカッコ悪いやつだと自覚してました。でなきゃ女の子にもてない学生が主人公の『純情日記』は作れませんでしたね。『東京ホテトル音頭』なんていうバカバカしい歌を作ってCDにしたのも、カッコ悪いやつだから平気でできるんです」

 そう謙遜する喬太郎が私にはとてもカッコ良く見える。来月の芝居、「たいこどんどん」も、カッコ悪い役なのにカッコいいのだろうなと。(おわり)

(聞き手・吉川潮)

▽やなぎや・きょうたろう 1963年、東京生まれ。89年、柳家さん喬に入門。前座名は「さん坊」。93年、二つ目に昇進し「喬太郎」と改名。2000年、真打ち昇進。14年、落語協会理事に就任。

【連載】柳家喬太郎大いに語る

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動