24年ぶり上演も…現代の歌舞伎で幽霊モノは通用しないのか

公開日: 更新日:

 ここ数年、6月の歌舞伎座は空席が多い。5月の團菊祭と7月の海老蔵の座頭公演にはさまれ、客足が鈍るのだろう。昼の部は尾上菊五郎、夜の部は中村吉右衛門が責任をもっての興行となり、ポスターでは2人が並んでいるが、共演はない。このへんが観客のニーズと合致しないのかもしれない。

 昼の部、中村時蔵の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」と、尾上菊之助の「文屋」はどちらもよく上演されるが、菊五郎が主役の「野晒悟助(のざらしごすけ)」は20年ぶり。夜の部も、吉右衛門主演の「夏祭浪花鑑」は数年に1度は上演されるが、「巷談宵宮雨(こうだんよみやのあめ)」は24年ぶり。

 20年も上演されないのは、芝居としてつまらないか、できる役者がいないかのどちらかだ。昼の「野晒悟助」は前者で、夜の「巷談宵宮雨」は後者であろう。

「野晒悟助」は河竹黙阿弥が五代目菊五郎のために書いたもので、先月の「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」もそうだから、菊五郎は2カ月続けて先祖にゆかりの役を演じた。「弁天」は名作中の名作だが、それと比べると、「野晒悟助」はストーリーが単調で、菊五郎演じる侠客のカッコよさを見せるための芝居で、その目的は達せられている。いずれ演じるであろう菊之助に手本を示すための上演だろう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸300億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」