戦後最年少で真打ち昇進 志ん朝以来スピード出世だったが

公開日: 更新日:

 病気については、改めて詳しく話してもらおう。

「自分は勉強ができないバカで落ちこぼれだと思い込んでました。だから、落語を褒められても、おべんちゃらとしか思えない。人の言うことが信じられない。落語家としても、小さんの孫だからちやほやされるんだと。早い話が、劣等感の塊ですよね」

 昇進後の花緑は、古典落語を大胆にアレンジし始めた。登場人物のキャラクターを現代人と重なるように変えたり、「入れ事」と言われる現代的なくすぐりを随所に挟んだ。

「とにかく客に受けたかった。志らく兄さんみたいに古典をぶっ壊してみたり、新作落語は自分で作れないから、三遊亭新潟(現白鳥)の『河童の恩返し』というネタをやったりしてました。それを小さんが舞台袖で聞いていて、『つまんねえ噺はやるな』と怒られました。照れながら河童を演じていたのがわかったようです。小さんは狸が出てくる噺を、『狸の了見でやる』と言いましたが、僕は河童の了見になれなかったのでしょう」

 試行錯誤の時期が数年間続いた。 (つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方