“空中分解”が現実に…「オフィス北野」がそれでも残るワケ
たけしが独立した後、軍団のための事務所にするというのが、師匠のたけしと軍団の一致した考えであった。そもそも、たけしひとりが稼いできた金で大所帯の事務所を支えてきたと言っても過言ではない。
給料が高過ぎると言われた社員たちが、たけしがいなくなれば、次々に辞めるのも当然だ。
そもそも、たけしは金には無頓着だった。自分のギャラはオフィス北野から、夫人と長男が経営する複数の会社に入っていく。その金が月に1億円を超えていたといわれたが、たけしの懐に入っていたのは月数百万円だったとか。今は個人事務所にすべてが入ってくるので、「こんなに稼いでいたのか」と本人が一番ビックリしているという話を耳にした。
その昔、たけしは僕らが取材で囲んでいると、その時々に合わせたギャグを連発、しばらくすると、特にウケた話はテレビでもやっていた。僕らも実験台にされるのは悪くなかった。常に前を見ているたけしが、自分が背負ってきた大きな荷を下ろし、アッという間に大きな資金をつくって本当にやりたい映画を、北野武監督として見せてくれるのではないだろうか。