劇団昴「Other People's Money 他人の金」格闘技のような激しい演技の応酬
物語のテンポもよく、場面転換も鮮やか。買収に怯え、保身に走るコールの葛藤、会長へ献身を貫くビーの純愛、凛とした姿勢と鮮やかな口跡でガーフィンクルをやり込めるケート、いかにもウォールストリートの風雲児らしいふてぶてしさと滑稽味のあるガーフィンクル……どれもが俳優の役作りが巧みで魅力的。
大詰め、株主総会で、「額に汗して得る金にこそ価値があるのです」と古き良き時代の経営理念を訴える金子の真情あふれる演説は果たして功を奏するのか。30年も前の戯曲だが、まさしく現代の資本主義経済の行き詰まりと退廃を予言していた。
東武東上線「大山」のPit昴で6月16日まで上演。
★★★★