満期出所まで残り2カ月で母親が死んで…葬儀の費用もなく
私がこれまでの人生で最も後悔していることは覚醒剤事件もそうですが、唯一無二の母親の死に目に会えなかったことです。
覚醒剤服用の現行犯とポルシェ詐欺事件(執行猶予)が加重されて結局、懲役1年6月の実刑判決を受けて、水原刑務所に収監されました。
女子房では7人の女囚との雑居房ですが、他の先輩の女囚から「あんた、歌を歌ってよ」なんて言われたこともあります。でも刑務所ではいじめられたりしたことはありません。私は女手一つで育てられたせいか、けっこう気が強く、口喧嘩には負けないタイプです。それに看守女性も私のファンで、たばこを差し入れてくれましたが、私は吸わないので断りました。
私が満期出所まであと2カ月残していた2016年4月、母親は92歳でこの世を去りました。若い頃から女手一つで私を育ててくれた母親は50代から糖尿病に悩み、合併症を併発して、腎臓、肝臓、そして認知症となり、最後は老人ホームで息を引き取りました。ソウル市内の葬儀会場に行くために法務部から2泊3日の特別外出許可を受けて喪主をつとめました。