「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」歌姫の歌唱競演が圧巻
歌唱、ダンス、演技、照明、音響……どこを取っても難じる点のない超一級の舞台だ。
凜とした立ち姿が「男前」の柚希の内奥からほとばしるパワフルで艶のある歌声。そして、ソニンの繊細で抑制された深みのある歌声が全編にみなぎる。秘めやかだったソニンの大詰めの爆発的歌唱は身震いするほど。
実咲凜音、清水くるみ、石田ニコル、谷口ゆうなら女工のソロ歌唱がまた圧倒的な素晴らしさ。戸井勝海、剣幸らベテラン勢が脇を固め、舞台に厚みを加えた。
「私たちは娼婦でも奴隷でもない。自由のために、明日を生きるために闘う」
舞台の通奏低音である女たちの闘いの歌。
男女共同参画時代といわれるが、日本では働く女性への理解はまだまだ浅い。その意味で、この舞台は現代社会に通じるメッセージ性を内包している。自由への闘いを描いた“女たちのもう一つのレ・ミゼラブル”ともいえよう。赤坂ACTシアターで9日まで。25~27日は大阪・梅田芸術劇場。
★★★★★