“3人の美少年”莟玉・染五郎・隼人 次世代スターは飛躍の秋
「中村梅丸」は、歌舞伎ファン以外には、ほとんど知られていないだろう。中村梅玉の部屋子である。1996年生まれで、23歳。若い女形として、歌舞伎座では梅玉の出る月に脇役で出るくらいだった。海老蔵や菊之助の息子のように、初お披露目、初舞台のたびに話題となる御曹司ではない。
それでも少しずついい役がつくようになり、数年前から正月の浅草歌舞伎にも出て、昨年夏はマンガが原作の新作歌舞伎「NARUTO」でヒロインの大役を得て、ファンも増やした。
その梅丸が、今月の歌舞伎座で、梅玉の養子となり、「莟玉」と名乗ると披露された。梅丸としてようやく浸透してきたところでの改名はもったいないとも思ったが、これから飛躍しそうなので、このタイミングのほうがいいのかもしれない。
莟玉は美形なので、これまでは女形が多かったが、今後は立役もやりたいとの意向で、襲名披露では「菊畑」の「虎蔵実は源牛若丸」をつとめた。前半は虎蔵で、後半、実は牛若丸だと分かる。その違いを表現しなければならない役だが、自身が梅丸から莟玉へと変わる姿と重なる趣向になっている。