復帰のめど立たず 休演を予測させた最後の「海老蔵歌舞伎」
15日、海老蔵が喉を痛め声が出なくなり、歌舞伎では珍しい公演中止になってしまった。
すでに見ていたが、今月の海老蔵は、「倒れなければいいけど」と思うほどの奮闘ぶりである。昼の部2演目に主演し、そのひとつでは長男・堀越勸玄との共演、夜の部は古典の新演出で13役早替わりに挑んでいた。
「7月の歌舞伎座」の座頭となって3年目。来年5月に團十郎を襲名するので、7月の海老蔵歌舞伎のファイナルとなり、より力も入っていたのだろう。
歌舞伎は、主役が体調不良で倒れても、ぶっつけ本番で代役がつとめて、公演中止にはしないものだが、今回は、実質的に新作で、13役早替わりは誰も稽古をしていないので、中止にせざるを得なかったのだろう。
公演中止、チケット代返金という処置については、賛否ある。海老蔵を見たくてチケットを買った人にとっては、代役で見せられるよりも、返金してもらったほうがいいかもしれない。地方から来た人などは、代役でもいいから上演してほしかったと思うかもしれない。海老蔵以外の共演者を見たくてチケットを買った人もいるだろう。議論の分かれるところ。