深作欣二監督作「復活の日」40年ぶりリバイバル上映の意義
映画では、流行時には「イタリアかぜ」と命名され、「新型ウイルス」の文字も新聞に踊る。世界中の都市で数百万人規模の死者。東京の死者は、何と1000万人と出る。人類絶滅の危機のさなか、ウイルスは超低温に弱い特性を持つことが分かった。その事実を知った南極大陸の各国の越冬隊の人々が生き延びて、「復活」を目指す。
■評論家と読者の評価が異なった
思い出すことがある。公開時の本作はそれほど高い評価は得られなかったのである。権威があるキネマ旬報の80年度邦画ベスト・テンでは、第19位に甘んじた。ただ、読者選出では第4位となっており、プロの映画評論家と映画ファンの評価が、くっきりと分かれたのが興味深い。
映画ジャーナリズムに、大作主義、大宣伝の角川映画への反発が大きかったこともあったと推測する。恥ずかしながら、映画業界に入ったばかりだった筆者も、その流れに逆らうことはできなかった。大ファンだった深作欣二が、こんな大作でいいのかと少々むくれたことを思い出す。当時は、「仁義なき戦い」の余韻が、まだかなり色濃い頃だ。深作さんには悪かったが、東映の実録路線で見せたような、もっと激烈な人間劇を見たい思いのほうが強かった。