著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

「ランボー」新作不運…ジブリ旧作トップ3独占のからくり

公開日: 更新日:

「ランボー~」は、コロナ禍ただ中の映画興行では、洋画新作として広範囲な宣伝展開が行われた勝負作の1本だ。宣伝費も相当な額にのぼる。シリーズには多くのファンがいる。その層へ作品の存在をしっかり届けるためにも、初動のランキングを詳細に分析して、もっと「ランボー」新作の踏ん張りをメディアが取り上げてもよかったのではないか。筆者などは、そう思ったのである。

 今回のジブリ作品は、入場料金が1100円均一(高校生以下は1000円)であることにも触れておく。過去作だから当然の設定ではあるが、この料金が動員を伸ばしたのは疑いの余地がない。一方「ランボー~」は、新作だから一般料金1900円だ(各種割引あり)。価格差が歴然とあった。この価格差で、両者を動員比較するのは少し酷ではなかったか。ジブリ作品の登場が、「ランボー~」の興行に、直接的な影響を与えたかどうかの判断は難しい。ただ、ランキングにおけるメディアの反応によって、「ランボー~」の存在が小さくなったのは事実だろう。公開後の情報発信は確実に鈍った。

 映画界では慣習として、年間の作品別興行ランキングは興収計算を原則としている。だから、毎週のランキングも、興収計算だと思っている人が多いのではないか。改めて言うが、そうではないのだ。今回のように入場料金が作品間でまるで違うと、ランキングの意味も少し曖昧になってしまう気がしてならない。

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