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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

完成度より「一発勝負」の勢いが大事 木梨憲武の芸論

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 その企画で出会ったアーティストの日比野克彦が、名古屋のパルコをプロデュースしており、「憲ちゃん、そこで個展やってみたら?」と誘った。「美術をずっと勉強していなくても、自分が表現したものが人に伝われば、なんだって好きにやっていいんだ」ということを日比野から教わったと木梨は言う(Yahoo!JAPAN「Yahoo!ニュース特集」18年11月16日)。

「一発勝負」で始まったアート活動だが、それに限らず、多岐にわたる木梨の活動に共通するものこそ、この「一発勝負」の精神だろう。

「歌もそうなんだけど、『普通に歌わなくていいよ』って育てられてるから。そういう、役割。番組も台本が一応あるんだけど、台本通りやらないで一発勝負、半分はアドリブ。あの時代はそれが求められてた。逆にマニュアルどおり普通にしてると、『あれ、どうしたの、今日。調子悪いのかな?』とか思われてた」(同前)

 表現はこだわろうと思えば、どこまでもこだわることができる。そうした中で雑念も入ってくるだろう。だから、エネルギーの感じるままを大事にする。完成度よりも初期衝動と躍動感。その「一発勝負」の勢いが見るものに「伝わる」のだ。

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