高倉健さんが結婚祝いにロレックスの腕時計を届けてくれた
まるで映画の一場面のようではないか。後ろ姿に「健さん!」と声を掛けたくなる。
それから8年後の1994年、三郎は市川崑監督作品の「四十七人の刺客」で健さんと共演する。健さん扮する大石内蔵助に忠誠を尽くす家臣、瀬尾孫左衛門役だから大抜擢である。
「あれは市川監督のご指名でね。俺がNHKの朝の連続テレビ小説、『ひらり』に出てたのを見て気に入ったらしい」
92年放送の「ひらり」で、三郎はヒロインの伯父、とび職の深川銀次を演じた。キャベツが好物という設定で、キャベツをかじるシーンが多かった。
「それを監督は面白いと思ったみたい。健さんに、『石倉は東映にいたんですよ』と言われて驚いたって。瀬尾孫左衛門は身に余る役で、うれしいなんてもんじゃなかったね。本番では緊張しちゃって何度もNG出したけど、クランクアップの時、健さんから『頑張ったな。敢闘賞だ』って、またロレックスをもらいました。2個の時計は宝物です」
三郎の顔がほころんだ。=つづく