ゆきぽよ復帰報道も世間は辛辣…剥がれた“元ヤン”化けの皮
(文=水野詩子/ライター、コラムニスト)
“親密な男性X氏”が自宅でコカインを摂取し、逮捕されたことが今年1月に「週刊文春」に報じられたタレントのゆきぽよこと木村有希(24)。“謝罪インタビュー”が3月19日のスポーツ各紙に掲載され、再起を誓ったものの、記事には<見たくない><要らない>といった辛辣で厳しいコメントで溢れた。「昔はヤンチャだったけど意外とまとも」「実はちゃんとしている」というギャップを売りにしていたのに、実物もヤンチャそのものだったが露見し、ファンの失望と怒りを買ってしまったのだろう。
“タピオカ恫喝騒動”をきっかけに2020年7月に芸能界を引退したはずの元タレントの木下優樹菜さん(33)も然り。ここに来て、「#最強の一般人」というハッシュタグをつけて、SNSで盛んに情報発信しているが、世間の反応は冷ややかだ。
2人は“元ヤン”などのカテゴリーでくくられているが、共通しているのは「精神的な未熟さ」。社会人や人間としての学びの機会を得られないまま芸能界デビューしてしまったことがマイナスに働いてしまっている。
もっと問題なのは、そんなタレントの精神的に未熟さ“個性”として重宝してきたテレビ局などのメディアだろう。19日の各スポーツ紙のゆきぽよのインタビューも横並びの一斉報道で、メディアがゆきぽよ復帰に向けてお膳立てに動く構図が浮き彫りになった。しかし、前述したように、記事に対するコメントは厳しいものが目立つ。日本には「ヤンキー文化」なるものが存在し、「昔は悪かった」ことを売りにしているタレントや経営者が定期的にメディアに登場する。ただ、過去のどうでもいい武勇伝を誇らしげに語るタレントの姿に違和感を感じる人が増えてきているのかもしれない。
警視庁の統計が示す厳しいデータ
もちろん、「昔は悪かった」けれど反省し、経験として世に良い形で還元できている人も存在する。「恥」として、きちんと自分の過去と向き合っている人は、決してそういう類の話を嬉々として話すことはない。
昨年9月に放送された「逆転人生『少年院・刑務所から再出発 “一発アウト”の社会に挑む』」(NHK)にゆきぽよと共に出演していた俳優の宇梶剛士(58)が、丁寧に言葉を選びながら、悔いるように自分の過去をについて語る姿がとても印象的だった。本当に更生するということは、ずっと自ら犯した罪と向き合い続けるということなのだと考えさせられた。
19年に警視庁(安全部少年育成課)が発表した「少年育成活動の概況」によると、刑法犯少年(犯罪少年)の再犯率は34.8%で、9年連続30%台で上昇傾向にある。ゆきぽよと親密だったX氏は18年6月に詐欺容疑で逮捕されているが、特殊詐欺の再犯者率は67.9%と突出している。犯罪少年の更生の難しさを数字が語っている。
前述の宇梶はしっかりと更生を果たした「元ヤンキー」だが、ゆきぽよや木下さんはいまだに更生し切れていない「現ヤンキー」だったのだと、改めて思うに至った。
そして、そんな更生途中の彼女たちを持てはやして起用し続けたメディアの罪は重い。犯した罪に対し、誠実でいられるか。何に対して誠意を見せ、謝るべきなのか。その見極めができるか否かで、今後、世の中に受け入れられるかが変わってくるのだろう。
両者が進むのは茨の道だ。