期待度1位「僕のヒーローアカデミア」大人にも刺さる作品
■弱点を抱えた主人公
ヒロアカ主人公・デクは「呪術廻戦」の主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)のように常人離れした身体能力があるわけでもなければ、「約束のネバーランド」のエマたちのような知能の高さがあるわけでもない。いつもマイナスからスタートする。
トライアンドエラーを繰り返し、一歩進んでは二歩下がるような経験を踏んで、少しずつ彼は自分だけの「ヒーロー像」に近づいていく。デクの最大の武器は「諦めない心」だ。言葉にするとたやすいが、彼の諦めの悪さは、執念にも近いものを感じるほどの他を圧倒する武器となる。その”ひたむきさ“こそ、読者が憧れてやまない「王道・主人公の象徴」とも言えるし、太陽のような降り注ぐ希望を発することができるのだろう。
不完全でないからこそ、戦う度にちゃんとボロボロになる。だからこそ起こせる「奇跡」に胸が熱くなり、不完全から完全無欠の存在になるまでの過程にも感動が生まれる。
その部分が、やはり王道のジャンプ作品と言われるゆえんだろう。
鬼滅の刃や呪術廻戦のように爆発的な人気とまではいかないが、だからこそ広く長く安定して愛される良作という独自のポジションを築いているのが「ヒロアカ」だ。打ちのめされ、傷ついてきた大人にこそ触れてほしい作品ナンバーワンである。