「節の後に落語をやるのはかなわん言うてね。志ん朝師匠もそうみたいでしたね」

公開日: 更新日:

 浪曲の「間」は、他の演芸と同様、非常に微妙なものだ。吉本興業所属の幸枝若が出ていたうめだ花月やなんば花月のような劇場と、浪曲師だけが集って競演する大会とでは、演じ方が違うという。

「吉本系の劇場ばかりでやってたので、いざ浪曲大会で本寸法に語ったら、間が早すぎて、いつも拍手が来る節もケレン(笑いを取るところ)も受けない。『そうか、間が早すぎるんやな』と気づいた。漫才や落語と同じように早間でやってたんです。もっと間を取らなあかんかった。これも勉強になりました」

 初代幸枝若の人気は凄かった。NHKで毎年放送される「東西浪曲大会」に出演する2人の関西代表のうち、1人は常に初代であった。私が見たのもテレビで、その節に聴き惚れてファンになった。人気落語家の古今亭志ん朝がひいきにして、東京に招いて2人会を開いたこともある。

「大阪では笑福亭松鶴師匠と2人会をやってました。松鶴師匠が先に出て、初代が後に出る時の師匠は楽そうやけど、初代の後に出る時はやりづらそうでしたな。節の後に落語をやるのはかなわん言うてね。志ん朝師匠もそうみたいでしたね」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  4. 4
    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  5. 5
    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  2. 7
    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

  3. 8
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 9
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  5. 10
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し