著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

オール阪神・巨人 出番が遅れ…新喜劇超える50分の大熱演

公開日: 更新日:

 その間にスタッフが新喜劇のセットから超特急で舞台を転換。それでも15分ぐらいは合間があったでしょうか。「お客さん帰ったんちゃうのん?」と言う阪神さんに舞台監督が客席のモニターを見ながら「ひとりも帰ってはらへんと思います」。巨人さんが「この後(出番の後)なんか(イベント)あんのん?」「ありません」「せっかく待ってくれはってんからたっぷりやろか、阪神?」「朝まででもやりまっせ~!」と言い残して登場曲に乗って舞台へ。劇場に携わって38年、私の知る限り新喜劇の後に漫才をやったのはこれだけ、超異例の出来事です。私が「最低30分?」と聞くと舞台監督はニヤリとしながら「もっといくんちゃいます?」。こんな機会はないと思い、客席に回り、満席のお客さんの後ろに立って見ることにしました。

 大拍手で迎えられ「待たせてごめんね。他にやることないんかいな?」「失礼なことを言うな!」と冗談を交えながら「ありがとうございます。きょうはたっぷりやらせていただきます!」という言葉にまた大拍手。

 ふだんは営業でしかやらない阪神さんの美空ひばりや鬼太郎の目玉おやじのモノマネなども入り、「もうええかな?」とお客さんに聞くと、「まだまだ!」と声がかかり、45分の新喜劇を超える50分の大熱演に。新喜劇で笑いを根こそぎ刈り取った後でお客さんはお腹いっぱい状態にもかかわらず、終始笑いっぱなし。口々に「やっぱり阪神・巨人はおもろいわ」「凄いな!」とお客さんの記憶には新喜劇はすっかり忘れられ、阪神・巨人でいっぱい。満面の笑みで帰られました。

 楽屋で「みなさん喜んではりました」とお伝えすると巨人さんが「それは良かった。これぐらいはせんとお客さんに失礼や」「お客さまは神様です~!」と阪神さん。汗でびっしょり濡れたワイシャツを着替えながらの充実感のあふれる笑顔が忘れられません。

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