「あの助監は絶対監督になれない」なんて賭けたりして…
この仕出しエキストラの仕事で、先輩俳優サン達が、何故に写る処はやりたがらないのか、暫くしてから判りましたよ。つまりコノ組の写真(映画)では、セリフのある役を貰ってる、しかもアップで。だから仕出しで目立ちたくはないって事と、半分はプライドかなあ。頭の良い、機転の利く助監督ならば、あ、君は役付きだったな、じゃコノカットは、いいヨ位の事は、云ってくれるんだけど、こういう利け者助監なぞ、メッタにいるもんじゃない。
大体の助監サンは、「何ンでもいいから、歩け。何ンでもいいから、座ってろ」こんな感じですわな。とにかく、台本なんて読んだことがなかったですな。勿論大部屋にも、台本は届くのですが、先輩達が持って帰ってしまい、何がドンナ話なのか見当もつかない。で助監サンに、例えば主人公を、本当に恨んでいて殺しに行くのか、それとも、主人公に恩になっていて、板ばさみの形で行くのとでは、やっぱり違いますわな。素人なりに、芝居の仕方がネ。勿論結局は死ぬだけなんですが。すると利け者助監サンは、丁寧に状況を教えてくれる。大方の助監ドノは、何んでもいいんだよ、切られりゃ! でオシマイ! そりゃまあ、シッカリ顔が写る訳じゃないから、いいっちゃあいいんだけど。