五輪会場“酒類提供”めぐり芸能界に起こっていた怒りの連鎖
東京五輪で、組織委が会場での「酒類販売」を検討していることに関しては、芸能界からも非難ごうごうだった。
「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系・22日放送)では、MCの羽鳥慎一(50)が「本当に長い間、お酒を出せなくて飲食店がずっと我慢してきたのに、オリンピックは何でもありなんだなって」と言えば、解説の玉川徹(58)は、「オリンピックが行われている東京のお店に関してはまっすぐ帰れ、酒出すのをやめろと言って、会場の中でお酒OKって、居酒屋とかバーの人が聞いたら激怒じゃないですか」と呆れた。
お笑い芸人のNON STYLEの井上裕介(41)はブログで、〈いやいや。これを検討するのであれば、今までの我慢はなんやったの!? 大声の抑制などが守られると思っているなら、今までも飲食業を閉める必要なかったやん!!〉と反応。女優の原千晶(47)も「東京オリンピック酒類販売容認? さすがに憤りを隠せません」とツイート。人気ユーチューバーのせやろがいおじさんも「政府が出した酒類提供の自粛要請に政府が協力しないんだけど」とツイートした。
さらに東国原英男(63)も〈驚いた。「オリパラ会場で観客への酒類販売容認」という報道。だったら、感染対策をしている飲食店はフルオープンにして上げないと〉とツイートした。
飲食店関係者や庶民の我慢を踏みにじる露骨な“五輪ファースト”に市井の怒りは爆発寸前だったのだ。
「五輪の最大のスポンサーは税金を出してる国民のはず」
さらに、丸川珠代五輪相が22日の会見で、「大会の性質上、ステークホルダーの存在がある。組織委としては、それを念頭において検討されると思う」と発言したことがさらなる燃料投下になるなど二枚舌も甚だしい。芸能文化評論家の肥留間正明氏は皮肉まじりにこう話す。
「飲食店には2人以下で90分以内などと言っておいて、五輪はOKなどというダブルスタンダードが通用するわけがない。国民はこの不公平感に辟易している。これだけバカにされてやってられるかということですよ。これはもう国が“飲酒OK”というお墨付きを与えたと受け止めて、苦労している飲食店をはじめ、自粛要請に応じてきた映画館、コンサート会場、劇場などのエンタメ業界も酒類を全面解禁してジャンジャン出せばいいんですよ。そもそも五輪の最大のスポンサーは税金を出してる国民のはずでしょう」
ところが、22日夜に事態は一転。こうした芸能界からの声も奏功したか、組織委は世間の猛批判に耐えきれず、酒類の販売を見送る方向で調整中と報じられ、組織委は23日に「収容人員の50%で1万人まで」の観客上限が決まった大会における観戦者ガイドラインを公表。会場での飲酒は全面禁止となり、アルコール飲料の持ち込みも禁止。会場内での酒類販売も見送られた。
五輪開催まであと1カ月。政治的意見は控える傾向が強い芸能人の爆発は、今後も世論を大きく動かしそう。開幕までドタバタはまだまだ続きそうだ。