著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<1>飯倉のイタリアンレストラン「キャンティ」で広がった業界人脈

公開日: 更新日:

 シュールで刹那的な詩は、彼女の少女時代がいかなるものだったか、うかがい知れなくもないのだが、いずれにしても、山口洋子より早く作詞家デビューしていたことになる。

 キャンティに出入りして、モデルとして活躍しながら作詞家になりおおせた彼女は、ひときわ目立つ存在だった。やはりキャンティの常連だったザ・タイガースの加橋かつみとの交際も報じられている。出会いはタイガースが「僕のマリー」でデビューした1967年2月ごろだという。

《彼とは友人の紹介で知り合ったの。ステージでは、いつもおしゃれなムードのかつみは、そのくせふたりきりになると、赤ちょうちんの下がったお店にわたしを連れて行き、湯豆腐なんかをご馳走してくれたりして、年のわりに大人びた雰囲気を持っている人だった》(「週刊ポスト」1971年6月11日号)

 このまま、モデルと作詞活動を行えば、才色兼備の「作詞家・飯野矢住代」として歌謡界に君臨していた可能性は低くなかったのではないか。作詞家の安井かずみも“キャンティ人脈”の恩恵で大きなチャンスを掴み、揺るぎない存在になっていったのは事実である。想像は当たらずといえども遠からずだろう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「NHKの顔」だった元アナ川端義明さんは退職後、いくつもの不幸を乗り越えていた

  2. 2

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  3. 3

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  4. 4

    元NHK岩田明子は何をやってもウケない…コメントは緩く、ギャグはスベる、クイズは誤答

  5. 5

    ウクライナ出身力士 安青錦がすべてを語った…単身来日して3年、新入幕で敢闘賞

  1. 6

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  2. 7

    奥さんが決断してくれた…元大関の小錦八十吉さん腎臓移植を振り返る

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    のんを襲った"後輩女優の二股不倫報道"の悲劇…カルピスCMめぐる永野芽郁との因縁

  5. 10

    Mrs.GREEN APPLEとディズニーのコラボに両ファン懸念…売れすぎた国民的バンドゆえの"食傷感"