著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<8>23歳の「三谷謙」は「全日本歌謡選手権」出場を決意する

公開日: 更新日:

 たとえ実力が劣っていたにせよ、「君の悪い点はここだ。次はこういう注意をして勉強しなさい」などと、どうして励ましてやることができないのだろう。きびしい意見はいいが、それだけではあまりに温かさがなさ過ぎる》(1971年5月20日付/読売新聞)

 そんな「全日本歌謡選手権」にプロ歌手の三谷謙が出場したのは1970年晩秋のことである。彼自身はこの時期、弾き語りで高給を得ており「こういう歌手生活もありかな」と世の中を達観した気になっていた。にもかかわらず、厳しさが売りの「全日本歌謡選手権」に応募のハガキを出したのは、心のどこかに「このままでいいのか」と自問自答していたからとみていい。「俺は流しをやるために、田舎から出てきたのか、これが子供の頃の夢だったのか」と思ったに違いない。

 かつて同じレコード会社に在籍した1年先輩の都はるみは、「アンコ椿は恋の花」の後も「涙の連絡船」「好きになった人」と次々とミリオンヒットを達成し、流行歌手どころか日本を代表する歌手のひとりに数えられていた。連日華やかなスポットライトを浴びる大スターの都はるみ。片や夜の街をギター片手に歩いて「1曲いくら」でお金を得る弾き語りの三谷謙。ともに「コロムビア期待の星」だったはずなのに、どうしてここまで差がついたのか。そのことも脳裏をよぎったことだろう。

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