プーチン大統領に「アイアン・スカイ」を…「復讐の物語の終わりはいつも悲劇的だ」
ウクライナ侵攻で街が破壊され、死傷者が出ているという絶望的な情報が連日メディアで報道されていますが、いまだに解決への光は見えてきません。ウクライナ側は今回の戦争を「自国への侵略戦争」と呼び、ロシア側は「特別軍事作戦」と呼ぶように、両国とも互いの自国の正当性を強調していますが、言うまでもなく武力で他国に争いを仕掛けたのはロシア側であり、子供も含めた多数の死者が出ているのを看過することはできません。
そんなプーチンに今回処方したいのは「アイアン・スカイ」(2012年/フィンランド・ドイツ・オーストラリア合作)という映画です。この作品は1945年のドイツ崩壊後に宇宙ロケットで月へと脱出したナチスの残党が、秘密裏に地球を侵略する準備を進めながらついに世界各国と戦争を始めるというSFアクションムービーです。
戦争の愚かさをユーモアを交えて描いた本作ですが、劇中で「復讐の物語の終わりはいつも悲劇的だ」というテロップが出てきます。他国への憎しみや怒りから復讐を企てたとしても絶対に幸福にはならないし、映画を引き合いに出すならば、全ての戦争映画はアンハッピーエンドなのです。この映画では一つの戦争が終結しても、また異なる理由から別の争いが始まります。戦争という“悲しみの連鎖”は誰かが止めない限り加速し続けます。自分の体面を守ってももう“カッコいい選択肢”は残っていません。笑われても気にしない、ヒーローよりコメディアンになる覚悟で進めていただきたいと思います。