日韓映画界の埋めがたき彼我の差…映画「モガディシュ 脱出までの14日間」大ヒットで浮き彫り
昨年、韓国で年間興収トップを記録した映画「モガディシュ 脱出までの14日間」が日本でも公開され、ネットを中心に絶賛の口コミが広がっている。
本国では最も権威ある青龍映画賞で作品賞ほか5部門を独占、アカデミー国際長編映画賞の韓国代表にも選ばれた。名実ともに韓国映画界を代表する作品だが、日本でも批評家、観客ともに評判がいい。とくに、日本映画にはないタイプの作品だったとの感想が目立つが、こうした評価について、映画批評家の前田有一氏が語る。
■勢いも製作費も待遇も大違い
「たしかにアフリカを舞台にした国連加盟国に対する外交謀略戦など、日本映画ではまずリアリティーが出せないジャンルと脚本だろうと思います。さらにモロッコオールロケによる重厚な映像、カーチェイスの迫力などはハリウッド映画にも見劣りしません。約24億円もの製作費も、大作が作れなくなってしまった今の邦画界からすればうらやましい限りでしょうね」
国連加盟を目指す韓国がロビー活動を行っていた1990年のアフリカのソマリアが舞台。大統領に面談の約束を取り付けた韓国大使のハン・シンソン(キム・ユンソク)だったが、北朝鮮のリム・ヨンス大使(ホ・ジュノ)らの妨害により阻止されてしまう。そんな激しい外交戦のさなか、突如として内戦が勃発。連絡・移動手段を奪われたハンたち大使館スタッフと家族は命がけで籠城するが、そこに助けを求めてきたのは意外にも北の大使館員たちだった。