「仮面ライダーV3」主演の宮内洋さん 75歳でも毎日2時間のトレーニングで20代の頃の体形維持
タイ人の留学生からもらったファンレター
73年に映画上映された「仮面ライダーV3対デストロン怪人」では、高知県室戸岬の無人島でハリウッド映画のような超ド派手な爆破シーンを敢行し、地元関係者から大目玉を食らったという。
「火薬の量がすごすぎて、島のかたちが変わったんですよ(笑)。それで不漁になって、地元の漁業組合や観光協会からクレームが入ったことがありました。とにかく、わたしは爆破シーンが大好きだった。だから、『仮面ライダーV3』の爆破シーンは、従来よりも3倍の火薬で撮りたいと思い、よく撮影所の所長のところに、『火薬出せ』『火薬出せ』と直談判に行っていましたよ。
ただ3倍の火薬で爆破シーンをやると、小石がバンバン飛んできて、体中に石ころが当たるんですよ。だから、いまも腕とか足にはアザが残っています。でも、それはアクション俳優としての勲章ですね。
実は『仮面ライダーV3』は東南アジア諸国、特にタイでは、いまも人気があるんです。九州で開催したファンイベントのときも日本の大学に通うタイ人の若者が、日本語で書いたファンレターをくれてね。うれしかったよ。やっぱり、男が命をかけて臨んだ本気のアクションは、時代も国境も超えるんだね」
そんな宮内さんだが、2008年に「閉塞性動脈硬化症」と診断され、人工血管に取り換える大手術を経験した。
「いまは酒も飲んでいるし、悪いところはひとつもないよ。あえて言うなら頭が悪いことくらいかな。ハハハ」
不死身の男・宮内洋は、いまだ健在だった。
(取材・文=大崎量平)