「太陽にほえろ!」ロッキー刑事役・木之元亮さん 前立腺がん患い全摘「徹の訃報はショックで…」
木之元亮さん(俳優/71歳)
「一番好きな刑事ドラマは?」と聞かれたら、1970~80年代に人気を博した「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)を挙げる人は少なくないだろう。その「太陽──」のヒゲもじゃのロッキー刑事役でデビューしたのが木之元亮さんだ。特撮ドラマ「ウルトラマンダイナ」(TBS系)のヒビキ隊長役でも活躍した。木之元さん、今どうしているのか。
■「僕の殉職シーンは徹と神田の腕の中で息を引き取ったんです」
「去年、『太陽にほえろ!』で共演した(渡辺)徹の訃報を聞いたときはショックでした。『太陽──』の僕のカナダでの殉職シーンは徹と神田(正輝)さんの腕の中で息を引き取ったんです。カットがかかったあと、一緒に泣いたのを懐かしく思い出します。彼とはジムで汗を流したこともあります。サービス精神旺盛だから、撮影後に渋谷などで飲むと、彼のヒット曲『約束』を歌ってくれました。ほんと、寂しいです」
東京・日本橋の喫茶店で会った木之元さん、悲痛な表情でまずはこう言った。
「実は去年、僕も大病をしました。春に受けた検診がきっかけで前立腺がんと判明し、6月にダヴィンチ(内視鏡手術支援ロボット)による全摘手術を受けました。やはり、がんと聞いて動揺しました。入院も手術も初めての経験でしたしね。幸い放射線や抗がん剤治療などは受けずにすみ、手術後は1カ月療養しましたが、8月に始まった舞台稽古には間に合いました」
ここ2年は舞台が続き、今年は映画を撮る予定。
「一昨年は23年ぶりの舞台でした。『ダイナ』で共演した小野寺丈ちゃんに声をかけてもらい、もう一度俳優として板の上に立とう、と。結果的に、気持ち良くノリノリでできて自信になった。もうジジイですが、『いらないよ』と言われるまで、俳優としてしぶとくいきたい。映像でも舞台でも、自分なりに気持ちのいい仕事を1本でも2本でもやれたら、というのが今の気持ちですね」
療養のため、身長184センチ、体重100キロと少し重くなったそうだが、長年、体づくりを怠らず、大病後の71歳とはとても思えない筋骨隆々の堂々とした体つきだ。
「鍛え始めたのは『太陽──』がきっかけ。デビューしたては、お金がなくてろくに食えないでしょ。鍛えてもいない。立ち回りをしようにもうまくできず、よく新人教育係のゴリさん(竜雷太)らに『何やってんだ!』と怒られたんです。それで、これじゃ通用しない、とジムに通い始め、以来ずっと続けています。他に予定がなければ毎日のように通い、ストレッチ、バイク、筋トレ、パワープレートなどで鍛えているので、やり過ぎなぐらい(笑)。でも、自分を追い込んで心拍数を上げ、心臓や肺を刺激して汗をかくと『生きてる!』という充実感が得られるんですよ。どんな現場でも、余裕をもって臨めますしね。去年の舞台で若い子たちと一緒にやっても、『みんなの中で一番元気ですね』と言われたぐらいですよ(笑)」
確かに、木之元さんには明るいパワーがみなぎっている。
「暗くなることがあっても、体を鍛えることで、自然と気分転換ができているのだと思います。トレーニングを終え、シャワーを浴び、家に帰って女房がバランスを考えて作ってくれたおいしいご飯を食べると、幸せだなあ! と思うんですよ(笑)」