(9)楽しく暮らすには、自分を縛るような「こだわり」は手放すにかぎる
「当たり前のことですが、年齢を重ねるということは、いろんな経験をしてきているわけですよ。誰だって長く生きていれば成功経験もあればもちろん失敗経験もある。うれしかったこと、悲しかったこと、悔しかったこともあれば、怒りが爆発するようなこともあったかもしれない。そうやっていろいろなことを学んで、年齢とともに、ある意味で賢くなっていくわけですよね」
そう語りはじめた中尾ミエさん。だが、ひと呼吸おいて言葉をつなぐ。
「でもね、ですよ。年齢を重ねたことで得たその人の賢さというか経験値が、すべて正しいかといえば、そうでもない。どこか間違っていることもあるし、時間とともに通用しなくなることだってあるわけですよ。もちろん、全部意味がないということではないんだけれど……。いつまでも役に立つこともあるけれど、逆に邪魔になることもあるんじゃないかしら。
たとえば、いろんなことに好奇心を抱いたり、新しいことに前向きにトライしてみようと思ったりしたとき、いままでの自分の常識とか知恵だけでは対応できなくなることだってあるわけだし、いくつになってもシャープな感度を失わないようにしたいし、学ばなきゃならないことも出てくる。そんなときに、昔取ったきねづかじゃないけれど、“いままで通り”じゃつまらないでしょ。楽しく暮らしていこうと思ったら、やっぱり自分を変えるというか進歩させるというか、なりたい自分になることが大事なんじゃないかと思うんですよ」