(3)落語家でなく昆虫学者になりたかった「セミの鳴き声の方が家の中よりうるさくない」

公開日: 更新日:

 正蔵は子供の頃、落語家になろうと思っていたのだろうか。

「とんでもない。なるもんかと思ってました。昆虫学者になりたかったんです。セミの鳴き声の方が家の中よりうるさくない(笑)。虫かごを持って採集している時が幸せでした」

 それがどうして落語家を志したのか。

「矢来町(古今亭志ん朝)を聴いちゃったんですね」

 落語家は住んでいる所の名で呼ばれることがある。志ん朝は「矢来町」、三平は「根岸」である。

「中学2年の終わりの頃でした。当時の『落語特選会』(TBS系)は深夜の放送で、父の弟子の錦平兄さんが見たいと言うので付き合わされたんです。番組が始まったら、陰気なおじさんが2人で、落語の解説を始めた。榎本滋民先生と山本文郎アナだったんですが、当時は知りませんよ。それが終わったらCMです。ようやく始まって、矢来町が出てきた。

『あ、この人、うちに遊びに来てたおじさんだ。錦松梅の人だ』と。そのおじさんが『船徳』を始めたら、かっこいいんです。気が付いたら正座して見入ってました。終わった後、錦平兄さんに、『この師匠も落語家の息子さんなんだよ』と言われて、『そうなんだ……』と」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???