こん平師匠に「うちの師匠は下ネタを嫌ったんだ。それを倅がやるとは何事か」と迫られた
「僕は日本テレビの早朝のワイドショーで、リポーターを始めました。毎朝、築地市場から中継リポするんですが、へたくそなんで、プロデューサーが困ってたみたいです(笑)」
テレビより好きだったのは芝居だという。
「喰始さんが主宰するワハハ本舗の旗揚げ公演に参加してます。つかこうへいさんみたいな芝居をやりたかったのですが、ご存じの通り、ワハハは下ネタが多い。僕も素っ裸で股間を葉っぱで隠して出てました(笑)。その公演を姉(海老名美どり)が見に来たんです。すぐにこん平師匠に伝わって、帰宅したら一門全員が集まっている。師匠(こん平)に、『うちの師匠は下ネタを嫌ったんだ。それを倅がやるとは何事か。落語を取るか下ネタを取るか、今はっきり返答しなさい』と迫られた。『落語を取ります』と答えて、翌日喰さんに説明しました。喰さんは、『一時でも一緒にできてよかったじゃん』と言ってくれて、今でもお付き合いしてます」 (つづく)
(聞き手・吉川潮)
▽林家正蔵(はやしや・しょうぞう)1962年、東京生まれ。本名・海老名泰孝。78年に父である先代の林家三平に入門。前座名は「こぶ平」。80年、三平没後、林家こん平門下へ。81年、二つ目昇進、87年、真打ち昇進。2005年に9代目「林家正蔵」を襲名。10年、落語協会常任理事に就任。14年、落語協会副会長に就任。