(14)若いころならいざ知らず 小さなことでイライラしている時間はムダ
「自分でいうのはおかしいかもしれないけれど、私もずいぶん角が取れてきたと思いますよ。小さなことに、いちいち目くじらを立てることがなくなりましたね。もちろん、芸能界にかぎらず、ふだんの暮らしのなかでも“なにいってるのかしら、この人?”“マナー、常識のない人だな”“ちょっとあきれちゃうな”と感じることはありますよ。そんなときでも、最近は極力怒ったり、イライラしたりしないようにしているんです」
そんな中尾さんだが、昔は違ったという。
「“キミ、いつもなにかに怒っているね”とか“円くなれ、もっと円くなれ”ってまわりの人からしょっちゅういわれていたんですよ。なにしろ誰かにこうしろ、ああしろっていわれるのが本当に嫌いでしたから。右を向けといわれると左を向きたくなるタイプでしたからね。自分の意に沿わないことにはしっかり反発していたし、他人の納得できない振る舞いにはすぐに“ノー”っていったり態度で表したりしていた。でも、60歳を過ぎたころから、変わったんですよ。もう自分は自分、他人は他人だからって……」
なぜ、こうした心境の変化が生まれたのか。