孤高の“クセ強”カルト芸人・永野が令和のバラエティーで活躍するワケ
■クセ強なのに、嘘がない
クセの強い芸風ながら言動に嘘がなく、予想だにしない振る舞いで常に現場を沸かせている。令和の時代に永野はすこぶるフィットしているのだ。
デビューから約20年の下積みを経て、“ラッセン”ネタでブレークした永野。しかし、数年後にはマイペースな活動を選択している。19年公開の映画「MANRIKI」にちなんだインタビューの中で永野は筆者にこう語っていた。
「できるだけ“身近な存在”になろうと頑張ったんですけど、17年末ぐらいにさすがに疲れちゃって。『こんなのもう嫌だ』ってマネジャーに伝えてから、好きなことをやろうって流れになりました」(「bizSPA!フレッシュ」の「ブレークから4年。永野、“斎藤工の熱量”に押された映画製作の舞台裏」から)。
また、同メディアのインタビュー前編(孤高のカルト芸人・永野が語る、デビュー前夜「あこがれの存在だったのは……」)では、「僕自身が視聴者に寄り添う芸人よりも“やばいヤツ”が好きだったから、そっちのほうがやってて楽しい」とも話している。こうした実直さが現在の活躍につながっているのだろう。
ファンや人気芸人にこびることなく、ただただ自分が面白いと感じる対象へと向かっていく。筆者の知る限り、その姿勢はトークライブでもバラエティーでも変わらない。今もっとも期待を裏切らない芸人のうちのひとりだ。
(鈴木旭/お笑い研究家)