「五感で愉しむR&B」が一夜限りの復活 6が並ぶメロウな木曜日、ぜひ六本木に足を運ばれたし!
何といってもレストランであるから、当然ながら飲食もイベントの大きな柱。シェフの小林功氏は、今はなき名門ホテル西洋銀座の出身ゆえフレンチの腕は折り紙付きだが、一方で同世代のソウルミュージック好きでもある。これ幸いと、ぼくはかつて自分が米国南部で食べ歩いたソウルフード(アフリカンアメリカンの伝統料理)のメニューをいくつか伝えた。
試行錯誤(という名の愉しき試食)を重ねて小林シェフがオリジナルレシピを完成させたソウルフードには、南部とりわけニューオーリンズの味を思わせる、絶妙なフレンチの塩梅もあった。プロの技ってすごいものです。回を追うごとにメニューも増え、イベントの中で存在感をましたソウルフードは、音楽と並ぶ夜間授業の重要なピースとなっていく。
かくして、ぼくが理想として掲げた「五感で愉しむR&B」は早々に達成をみた。ほぼ月イチのペースで全10回と銘打ってスタートした夜間授業は、20年秋にはフィナーレを迎えるはずだったのだ、本来なら。それに待ったをかけたのは、言うまでもない、降って湧いたコロナ禍である。「新しい生活様式」である。ご多分に漏れず不要不急の扱いを受けたわが夜間授業は、延期を繰りかえす破目になってしまう。あまつさえ外出の自粛で通常のレストラン営業も危うくなった〈ビルボードカフェ&ダイニング〉は、20年8月、ついに店じまいの憂き目に。これにあわせ、夜間授業の会場はなんと同店の親にあたる〈ビルボードライブ東京〉に移行する。