夏ドラマは駄作ばかりだった…「どうせパリ五輪に食われる」と各局の手抜きミエミエ
「新宿野戦病院」は歌舞伎町のリアリティーなし
「クドカン(宮藤官九郎)に外れなし」と言われるが、「新宿野戦病院」(フジ系)は外れではないか。東洋一の歓楽街、新宿・歌舞伎町の病院を舞台にしたコメディーだが、歌舞伎町のにおいがほとんどしない。クドカンは自分が体験したり、よく知っている世界のドラマはうまいが、そうでないと途端に薄くなる。冬クールの「不適切にもほどがある!」(TBS系)はテレビ局での話だったから、あるあるエピソード満載だったが、「新宿野戦病院」に登場するキャバ嬢、トー横キッズ、不法滞在外国人、反社らはリアリティーなし。宮藤は新宿ゴールデン街で飲んだくれて喧嘩をしたりという経験はないのかなあ。「まあ、歌舞伎町ってこんなとこでしょ」と並べて見せたという感じだ。笑いもベタ過ぎて、クドカンらしい切れ味と皮肉に乏しい。
■しわ寄せでカネも手間もケチる
話題の3ドラマがこのありさまだから、他は推して知るべし。去年の夏は「VIVANT」(TBS系)、「ハヤブサ消防団」(テレビ朝日系)、「シッコウ!!~犬と私と執行官~」(テレ朝系)など、カネも手間もかけ、凝ったドラマが目白押しだったのに……。
「今夏はパリ五輪とかぶるので手抜きです。オリンピック放送は放送権料や中継にべらぼうにお金がかかり大赤字。スタッフも最優先で回します。そのしわ寄せで、ドラマ制作はカネも人も手間もケチらざるを得ません。窮余の一策で、歩留まりが計算できるニノやクドカン、目黒でお茶を濁したというところでしょうかね」(番組構成作家)
そんなドラマじゃ面白いわけがない。秋クールに期待しよう。
(コラムニスト・海原かみな)