“お花畑”の何が悪い! 渡辺えり×ラサール石井【同世代 辛口対談】私たちの「戦争と平和」
ウソでも捏造でも“言ったもん勝ち”の世界
石井「たぶん、昔は政治家がテレビの力を軽く見ていたんじゃないかな。それが故・安倍晋三氏が首相になって以降、テレビを牛耳ることによって世論操作も簡単にできることがわかり、積極的に使って、ある程度成功した。それが今はテレビも時代遅れだとしてSNSに移行していったのではないでしょうか。
今、宇野常寛さんの著書『庭の話』という本を読んでいるんだけど、SNS上で承認を求めてタイムラインに流れる空気を読み、不確かな情報に踊らされて対立や分断を深めていくという『相互承認ゲーム』が現実を侵犯しているのではないか。つまり、それがウソだろうが根拠がなかろうが関係ない。『いいね』の数が多ければいいと……。“下層階級”の人たちは、ただゲームに参加しているだけで目的を達したと思い込み、“上層階級”の人たちは下層階級の人たちがゲームをしていることで潤うという2つのゲームが同時進行している世界。まるで再生回数で莫大な利益をあげるユーチューバーとユーザーの関係みたいです。昔はウソをついたり、事実を捏造したら、その人の社会的な生命は終わっていたのに、今はウソでも捏造でも『言ったもん勝ち』という世界。こんな社会になるとは思ってもみなかったです」