“お花畑”の何が悪い! 渡辺えり×ラサール石井【同世代 辛口対談】私たちの「戦争と平和」
あす8日から下北沢・本多劇場で上演されるオフィス3〇〇連続上演「鯨よ!私の手に乗れ」「りぼん」で作・演出・出演を務める渡辺えりさん。出演者で本紙連載「東憤西笑」のラサール石井さんとは同じ1955年生まれ。同年代として、作品を貫く「女性の生き方と反戦」というテーマで対談を行った。(取材・構成=山田勝仁)
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──昨年起きた兵庫県知事選挙でのSNSをめぐるゴタゴタを見ていると、簡単にウソや捏造を信じる人たちがいて、フェイク社会の怖さを感じるのですが。
ラサール石井(以下石井)「私が子どもの頃の未来は明るく輝いていた。超ハッピーな世の中になると思っていたけど、最近の世相を見てると暗澹とした気持ちになります。ネット社会も善しあしで、小泉今日子さんやきゃりーぱみゅぱみゅさんが政治的なことをSNSで投稿すると『芸能人は政治に口を出すな』と炎上しちゃうし、私なんか常に炎上してますから(笑)。私が高校生の頃は、テレビに出てくるワイドショーのコメンテーターや評論家はすごい政権批判してたのに、今はちょっとしたことですぐ政府筋から抗議が来るから、『言論の自由』はどうなっちゃったのかと思います」
渡辺えり(以下渡辺)「ちょっと前まではテレビの討論番組はリベラル派と保守派の論客が半々でしたが、今は保守派ばかりになって、少しでも政府批判すると、すぐ叩かれてしまう。しかもスポンサー企業に抗議が殺到するので、テレビ局も及び腰でしょう。その点、演劇はまだ作家が自分の言いたいことを書く自由があります。築地小劇場以来、社会の矛盾を突いてきた新劇は今も一本芯が通っているし、最近では劇団チョコレートケーキ、長田育恵さんや瀬戸山美咲さんなどの若い世代の小劇団は、戦争や原発問題などをストレートに表現していますよね」