老いを苦にして7階から飛び降りた 大友柳太朗

公開日: 更新日:

 当日の朝8時半、大友はマンションの管理人に「地下のトランクルームを開けてほしい」と頼む。管理人は鍵を開けたが、大友は手にベルトを持っていて様子がおかしい。しかも、中から鍵をかけてしまった。これは自殺かと管理人は大友の妻を呼び、合鍵を使って開けたが、室内にベルトを掛ける場所はなく、呆然と立ちつくす姿があった。

 妻はいったん自室に連れ帰り、近所に住む長男に「様子がおかしい。家に来て」と電話をかけた。その電話に向かった短時間に部屋から姿を消した。一瞬の隙をついた自殺決行だった。

 その1年ほど前から周囲に「老いてセリフ覚えが悪くなった」とよくこぼしていたという。不眠にも悩み、家族に口癖のように「死にたい」と漏らしていた。自殺の前日、伊丹十三監督の「タンポポ」の「ラーメンの先生」役での撮影を終え、監督に「アフレコはないでしょうか」とわざわざ確認している。それを人生の一区切りと考えたのか。

 もともと、生真面目な性格で知られ、便所でも台本を読むといわれた完全主義者の仕事人間。無趣味で、気晴らしをする機会もなく自分を追い詰めていったのだった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ