「処女喪失」は五月みどりさんに書いてくれと頼まれた

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碓井 これは一度うかがってみたかったんですが、先生は女性が主人公の作品は、あまり積極的にお書きにならないような気がして。

倉本 書きづらいというか、女性の心理が分からない。女っていうのは、まず、みんな、年上に見えちゃうんですよ。いまだに15、16歳ぐらいの女の子を見たら、もう年上だって感じ。なんだか見透かされている気がして。自分の思考が12歳ぐらいで停止しているんですかね。若いときからダメですね。だから、恋をするのにも苦労します。

碓井 恋の話といえば、菊村が「シナリオを書く際には疑似恋愛までする」と言っていましたが、これって先生の実体験ですか。

倉本 そうですね。やっぱり、ある種、しないとダメですよ。ライターは常に疑似恋愛しています。疑似恋愛してラブレターを書くような気持ちなわけですが、男の登場人物でもある種、そうなんですよ。ただし、男に対しては、相手役の女の子の身になる。そう考えると、無数のラブレターを書いています。相手の女優さんから自宅に電話がかかってこようものなら、女房がいると、内心、ドキッとしたりしますよ。なにがあるわけでもないのに。

碓井 脚本が完成したら失恋した気持ちに?

倉本 書き終わると、疑似恋愛も終わる。ときには振られたって感じで失恋に終わることも。得恋にはならないですよね。なかなか。(つづく)

(聞き手・碓井広義)

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