今すぐ必要かチェックを…老親の薬は「半分以下」に減らせる
胃腸薬は、10年前に胃潰瘍の手術を受け、それ以来、定期的に検査に通っている消化器内科で継続して処方されていた。ところがTさんは、胃の不調は特に日頃感じていないという。しかも、内科、整形外科でも胃腸薬が処方されていた。
「Tさんの話と薬を照らし合わせ、『絶対に飲まなくてはならない薬』と『必要な時に飲んだ方がいい薬』とに分けたのです。胃腸薬がまさにそうでしたが、同じような成分が重なっている薬が結構ありました。それらをTさんにきちんと説明し、『まずはこれらを減らして、様子を見ましょうか』と話したのです」
Tさん自身、14種類23錠の薬を飲むことにストレスを感じていた。飲み忘れも多かったという。伊藤院長の指導のもと、少しずつ薬を“交通整理”していった結果、現在、Tさんが服用している薬は、7種類16錠。症状が悪くなることもなく、逆に「今の方がいい」とTさんに感謝された。
「高齢者は複数の病気を抱えているので、かかっている診療科がいくつもあります。そのため、処方される薬の成分が重なっていることが少なくありません。おまけに医者は『検査をして数値が高めですから、念のために薬を』となりがち。それが何年も繰り返され、薬の量がどんどん増えていく高齢者が珍しくありません」