「いつもの薬をいつもの量…」に警鐘 長期処方の危険性
40代薬剤師
不景気のせいか、1カ月分を超える薬を出す「長期処方」が増えています。糖尿病の薬や睡眠薬、高血圧の薬など、99日処方をして平気な顔をしている医師がいます。怖いな、と思います。
ご存じの方もおられるでしょうが、薬の必要量は夏と冬では違います。
例えば血圧は一般的に冬に上がり、夏は下がります。そのため、夏は薬を少なめに、冬は多めに調整します。もちろん、その間に患者さんの食事の内容や量、体重や精神状態などが変わると血圧は変化します。当然、医師は細かく血圧をチェックして、その結果に応じて薬の種類や量を変化させなければなりません。
ところが、長期処方の患者さんは、「いつもの薬をいつもの量だけ出されている」ケースがほとんど。恐らく、長期処方を出す医師は、患者さんの体重の増減、食事、季節の変化などを何も見ずに、病院で測った血圧の結果だけで「ああ、変化ありませんね。ではいつものお薬を出しましょう」などと言っているのだろうと思います。
また、先輩医師から受け継いだ患者に対しては「先輩の処方を変えるのは失礼だ」と考えて、薬の種類も量もまったく変えない若手医師も多い。これでは、薬が効きすぎてしまいます。