「活字は聴く」時代へ
都内の40代 眼科医
先週、母校に用事があり、後輩の医学生と話をする機会を得ました。そこで話題になったのがスマホの「読み上げ機能」です。
リオ五輪に出場した選手の背景にやたらと詳しいので、「勉強しないでスポーツ新聞や雑誌ばかり見てたんだろう」と言うと、スマホで興味のある記事を見つけ出し、それをスマホに読み上げてもらっていたというのです。読む速度は自由に変えられ、漢字の読み間違いなどがあるにせよ、これを使って世の中のことを知るようにしているのだそうです。
この医学生も医学書に囲まれ、毎日のようにリポートを作成するため机にかじりつき、活字と格闘しています。その姿は私たちの時代と変わりません。そのため、当時の私は「どうしても余計な文字は読みたくない」と思ったものです。当然、新聞などを読まず、世間知らずのままでした。
しかし、いまの医学生は違います。「豊洲問題」から「政治」「芸能」の旬な話題もよく知っている。理由は「文字を聴く」ことができるようになったからだそうです。
バスや車の中で興味のある記事を聴き流す。車酔いする心配もなく、スマホの機械的な音声は淡々としてスムーズに頭に入るというのです。読むより聴く方が頭に入るというタイプがいることが「読み上げ機能」が重宝がられている理由でしょう。