メイ英首相は56歳で発症 1型糖尿病は“大人の病気”だった
「この患者さんは最初、自宅近くの一般内科のクリニックにかかっていました。残念ながら一般内科の先生の多くは、緩徐進行1型糖尿病の存在を知りません。そのため、2型糖尿病と同じように飲み薬による治療や食事制限、運動療法などを勧めますが、もちろん効果はありません。正しくはすぐにインスリン注射を打たなければなりません。1型と2型では同じ糖尿病でも治療の仕方が違うのです」
今年7月に英国史上2人目の女性首相に就任したテリーザ・メイ女史は、56歳となった2012年11月に重い風邪をキッカケに1型糖尿病を発症した。当時、内務大臣を務めていたメイ首相は、ロンドン五輪の仕事に追いまくられていた。すでに体重減少といった糖尿病特有の症状は表れており、医師から「2型糖尿病」と告げられた。
しかし、血糖降下薬は効果がなく、すぐに「1型糖尿病」と病名が変更され、1日4回のインスリン注射に切り替えられた。
「メイ女史は世界で初めて首相に就任した1型糖尿病患者です。就任当初は“激務に耐えられないだろうから首相には不向き”との批判がありました。しかし、彼女は上手に血糖コントロールすれば健康な人と変わらず、重要な責務をこなせることを証明しています」
日本では統計資料さえないほど“冷遇”されている大人の1型糖尿病だが、恐れることはない。2型糖尿病と診断されながら、血糖値が下がらない人は糖尿病専門医にかかることだ。