極度の糖質制限は危険 がん患者が取るべき「正しい栄養」
その理由はハッキリしないが、がん細胞が好気性解糖を行うとアポトーシス(細胞死)するという説もある。
「いずれにせよ、がん患者への食事は好気性解糖にプラスになる栄養素を取ればいいのです」
では、具体的に何を取ったらよいのか?
「『ビタミンB1』はピルビン酸を変身させ、細胞内のミトコンドリア内の代謝経路(TCAサイクル)へ取り込まれる際の補助酵素として働きます。『コエンザイムQ10』はATP生産に必須の補助酵素。『L-カルニチン』は血液中に溶け出した脂肪酸をミトコンドリア内へ誘導することで、エネルギー変換への手助けをします」
人の体内ではつくれない必須アミノ酸である「分岐鎖アミノ酸」(BCAA:バリン、ロイシン、イソロイシン)は、そのままミトコンドリア内に誘導され、好気性解糖と同様にエネルギーを産生する。「クエン酸」は乳酸をピルビン酸に戻す働きがあり、がん患者の強い疲労感を解消させるのにも役立つ。むろん、がんの種類や治療法の違いで必要となる栄養素は変わるが、共通するのは手術や抗がん剤治療の前に十分な栄養を補給しておくこと。