仕事の合間に女性の谷間に顔をうずめて突然死したい
人間の尊厳は人それぞれ違っています。がん治療の現場に身を置き50年以上、治したり癒やしたりは実は方便で、医療の真の目的は、「患者さんが人間としての尊厳を保ち続けるサポートをすること」だと考えています。
■帯津三敬病院設立までの道のり
きっかけは、東大病院、都立駒込病院で外科医として治療を行う中で、外科や西洋医学の限界を感じたことでした。
食道がんの手術が主でしたが、優秀なスタッフや最新の治療機器をそろえ、手術が成功しても、再発して病院に戻ってくる患者さんがいる。外科手術では目に見えるリンパ腺は取れるが、細胞レベルのがん細胞は区別がつかない。局所だけ見る医学ではなく、心や命に配慮できる医療体系が必要だと考えたのです。
それを実現させるために帯津三敬病院を設立し、患者さんの顔を見て治療法を組み立てるようにすると、今度は病状の推移と心とに密接な関係があると気付きました。
心といっても、明るく前向きに、ではない。一人で生まれ、一人で死んでいく人間は皆、「生きる悲しみ」を持っている。その生きる悲しみを医師は敬い、患者さんの意向をよく聞いて、その人に合った治療計画を立てなければならないという考えに至りました。